犬のアトピー性皮膚炎の新しい治療法であるインターフェロン療法についてのコラムです。

★コラムvol.3からvol.5は、ラジオ番組「宏子先生の動物クリニック」(文化放送、ラジオ大阪にて放送中)でおなじみの獣医師清水宏子先生が、犬の皮膚病やアレルギー、アトピー性皮膚炎の新しい治療法などについて分かりやすくお伝えします。

vol.5:アトピー性皮膚炎の新しい治療法

Sさん 『この頃女房の機嫌が良いんですよ。ナナのために空気清浄機を取り付けたし、僕も掃除もうまくなったし、洗濯機の使い方もマスターしたしね!これで定年後の就職先はばっちり主夫で使ってもらえそうです。先生のおかげ!ところでアトピー性皮膚炎の治療法のミニセミナーにご近所の犬仲間も連れてきたのでよろしく!』

副腎皮質ホルモンによる治療

犬のアトピー性皮膚炎の新しい治療法であるインターフェロン療法。 イラスト画像昔はいろいろな薬がなかったので、副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)で免疫を抑え、かゆみや炎症も抑えていました。かゆみもパタッと止まってとても効果は高いのですが、長いこと使うと副作用に気をつける必要があります。

短時間作用型の薬を適切に使えば副作用は出にくいのですが、副腎皮質から分泌されるホルモンと同じ作用の薬なので、出るとすればホルモン過剰の症状です。感染が起きやすい、腹部の筋肉がたるむ、皮膚が薄くなる、水を良く飲む、食欲が増加する、時に肝臓が悪くなるなどです。もう一つ大切なことは、急にやめないで徐々に薬を切ることです。体の中に十分ホルモンが与えられているので、ホルモンを作ることを休んでいる可能性があります。急に薬をやめるとホルモンが逆に足りなくなって具合が悪くなるからです。

免疫抑制剤による治療

免疫抑制剤(サイクロスポリンなど)といって、過剰な免疫を抑える薬もあります。臓器移植の時の拒絶反応を抑える目的で開発されました。比較的副作用は出にくいのですが、高価です。

抗アレルギー薬および抗ヒスタミン剤

化学伝達物質を抑える抗アレルギー薬もあります。炎症を起こす化学伝達物質を出にくくするので、炎症が起きにくくなります。作用は弱く穏やかなので、長期に投与します。
抗ヒスタミン剤も使います。炎症を起こすヒスタミンをブロック(遮断)する薬です。作用は弱いので安心して使えます。

新しいインターフェロン療法

新しい話題の治療法はインターフェロン療法です。イヌインターフェロン-γで、アンバランスになっている免疫の調節をして、アトピー性皮膚炎で悩んでいる犬の症状を緩和します。イヌインターフェロン-γは、リンパ球の一種、Th2が異常に活性化しているのを抑え、Th1を活性化してアレルギーを抑えます。アトピー性皮膚炎の特効薬として、根本的な改善を目的とした今までにない薬で注目されています。副作用はほとんどありません。

アトピー性皮膚炎の治療の組み合わせ

私達の病院ではイヌインターフェロン-γを中心に、副腎皮質ホルモンを初期やかゆみのひどい時だけ併用します。抗アレルギー薬の内服で毎日コントロールしてもらいます。症状が落ち着いていても、食餌(低アレルゲンのフード)、環境、管理など、アトピー対策を万全に行えば、『継続は力なり』で動物は快適です。

犬のアトピー性皮膚炎の新しい治療法であるインターフェロン療法。 イラスト画像

アレルギー治療の体験談

Sさん 『薬の開発や使い方など、先生たちも日々進歩する獣医療の勉強が欠かせないね。みんなで頑張って犬たちをかゆみから解放させてあげなくちゃ。ところでイヌインターフェロン-γの体験談も教えて。』

〜柴犬の内山ピー太郎ちゃん(4歳)〜

2歳の夏からかゆがり始めて、目と耳の周りが赤くなって顔をかいたり、足をなめたりして来院。9月から12月までの3ヶ月間、大工さんなので仕事の合間に、不定期でしたが1週間から10日に1回のペースで3ヶ月間継続的に来院。低アレルゲンの食餌と抗アレルギー薬もしました。今では目も耳も足も、毛がはえてきました。『目の周りの毛が抜けて、黒っぽくなって、殴られたみたいな顔だったのが、ホラ、かわいくなって良かったぁ。』

〜シーズーの大橋チェリーちゃん(7歳)〜

3歳の夏からかゆがり始め、皮膚に赤いブツブツができてきて、お腹が赤いと来院。よく見ると脇も股も赤くなっていました。キャリアウーマンなので1ヶ月に1回くらいしか来れませんが、イヌインターフェロン-γを使い始めてからひどくかゆがることや皮膚が黒ずんだりすることがなくなりました。『この頃、そろそろかゆがりそうだなぁって予め分かるようになったの。かゆくなる前に来ると違うのよ。』と、喜んでくれています。

〜ウエストハイランドホワイトテリアの前川リクちゃん(6歳)〜

1歳の頃からアトピー性皮膚炎が出始めました。かゆみが強く皮膚はベトベトして臭く、脇の下や股が象の皮膚のように厚く、進行していく状態でしたが、イヌインターフェロン-γの注射に週1回計16回頑張って通いました。ママがシャンプーをまめにして、低アレルゲンのフードに変えて4ヶ月。まだ時々かゆがる日もありますが、足の臭いはとれて、皮膚のベタベタやフケはなくなりました。『頑張った甲斐があったわー。この子が夜中かゆがり始めて眠れないと私まで睡眠不足。犬の悩みは私の悩みだったのが、すっかりなくなってホッとしてます。』

犬のアトピー性皮膚炎の新しい治療法であるインターフェロン療法。 イラスト画像

犬のアトピー性皮膚炎の新しい治療法であるインターフェロン療法。 イラスト画像

治療前の前川リクちゃん
治療後の前川リクちゃん

三位一体、動物たち+飼い主さん+獣医師など病院のスタッフ、みんなで人と犬とのハッピーライフのお手伝い、3つの力を合わせてレッツスタート。

犬のアトピー性皮膚炎の新しい治療法であるインターフェロン療法。 イラスト画像


 
|
|
|
|
|